老俳優
雪とみぞれ少々。
天候不順で外まわりの仕事が手に付かないが雪の少ないのは有り難い。
見逃していた「アンナチュラル」の1~3話をお正月の再放送でみることができた。
「Z」「アイアムアヒ-ロー」「カメラを止めるな」…近年、様々なゾンビ映画が作られているが、「アンナチュラル」の第1話でゾンビの話題になり、「筋肉が腐ったら動けないはず」という指摘はかなり鋭い(笑)
しばらく前に朝ドラを見ていたら年配の俳優さんが出演されておられた。
どこかで見た顔…とすごくモヤモヤしてので再放送のクレジットを見たら「団時郎」とあった。
子供の頃大好きだった「帰ってきたウルトラマン」に主演されていた俳優さんである。
若々しく輝いていた青年俳優が歳を重ね、そしてそれに見入っていた自分もまた同じだけの歳を重ねてきたのだと思うと不思議な気がした。
子供の頃、大人の世界がはるかかなたに思えたが、自分が人生の折返し地点をすぎても少しも成長がないことに苦笑せざるを得ない。
人生はすぐに終わる…と時々考える。
残された時間に何を為すべきかと。
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しばらく前に朝ドラの「カーネーション」を夕方の時間帯に再放送していて時々見た。
実にいろんなテーマを持ったドラマだったと思うが、ドラマの終盤では主人公の老いがリアルに描かれていた。
シワやシミのある皮膚や衰えていく四肢の姿がメーキャップや演技によって緻密に表現されていた。
これほど老いを深刻に捉えた作品も少ないであろうと思われた。
そして残酷といえる老いのなかで主人公の精神と行動が生き生きと輝いているようでもあった。
自分が老いを意識するようになってようやく作り手の意図が分かったように思う。
老いは誰にでも訪れる。その老いのなかで輝いて生きればいいと。
昨日、カーラジオから山中伸弥教授の講演が流れていた。
ドイツ人の指導教授から教わったV(ヴィジョン)とW
(ワークハード)が大切であると語っておられた。
日本人は真面目に“ワークハード”するが一体何のためにという“ヴィジョン”に欠けると山中教授は語っておられた。
“ワークハード”というものは時に人を埋没させてしまう。
もちろん“ワークハード”無き“ヴィジョン”は夢想でしかない。
これからの数十年で生理学、医学は偉大な進歩を遂げるにちがいない。
そして私達の寿命を延ばすことに成功する確率が極めて高いと考えてよいだろう。
長く生きることが可能になった人生で私達は何を為すのかと考えることも大切だろう。
もっともその長いはずの人生もその終わりに顧みればやはり一瞬の生なのではないだろうか。
私達はこれからいよいよ莫大な情報のなかで生きていくにちがいない。
その莫大な情報のなかに人生について真剣に考えるための情報は極めて少ないのではないだろうかという気がする。
そして膨大な情報の流入に翻弄されるかのように自分を内観する時間がいよいよ少なくなるに違いない。
そういう時代でもなお仏教から学ぶべきことが多く在るように思う。
故人を弔うことや、何らかの現世利益を得ることも必要だろうが、今を生きる私達が人生について内省する教えとそのための行というものが仏教のなかにあるように思う。