眠る雑草 雑読雑感 

 

 


昨年の西日本豪雨で兼務寺院の参道が崩落し迂回路をとおっている。


長いトンネルを抜けると田んぼや山の風景が広がっているのだが、お彼岸開けに通ったらトンネルの向こうに沢山の彼岸花が咲いていた。

 

 


緑の風景のなかに赤い色を灯したようで心が明るくなった。
今年は全国的に彼岸花の開花が遅いようだが、その盛りも終わりつつある。

 

 


迂回路の山道は管理も不十分で青草が生い茂っている。

 


その中に時々不法投棄されたゴミがあって腹立たしいような残念な気持ちになる。

 


そんなふうに生きていて幸せになれるはずがないのだが…

 


少し前もそんなゴミの山を前に暗い気持ちを起こしていたのだが、周囲に沢山の葛が茂っていてそのなかに紫色の葛の花が咲いているのを見つけた。

 


葛の花は二等辺三角の形をして、紫のろうそくのようだった。

 


葛の花を見た途端にそれまでの暗い気持ちが消えてしまった。

 


感情が波立って入るときに花によって沈められることがあつて、いつもすごいなあと思ってしまう。

 

 

最近、読んだ本に葛の花はワインのよぅな香りがすると書かれてあった。一度花の香りをかいでみたい。

 

 

 

身近な雑草の愉快な生きかた(ちくま文庫)

身近な雑草の愉快な生きかた(ちくま文庫)

 

 

 

 

しばらく前に書店で稲垣栄洋「身近な雑草の愉快な生きかた」という文庫本を見つけた。

 


面白そうだったが衝動買いを沈めて帰ってきたものの、密林の古書で見かけて思わず買ってしまった。

 


白黒の細密なイラストがついている。50種類の雑草たちの見事で、精密で、驚きに満ちた生態が記されている。文章もひねりとユーモアが効いていて飽きさせない。

 

葛は夏の盛りには葉を上に閉じて「眠る」という。
光合成の能力を超える光をさけるためだという。夜になると葉の表面から水分が蒸発しないように葉を下に垂らして閉じ「眠る」という。これらは水圧によって葉を動かす精妙なしくみによるものである。そのための器官は「葉枕」というそうである。眠りに枕とは洒落ている。

 

 

 

 

 

最近、読んだ本の話。

 


刑務所の慰問をされた竹内均さんという方の著書に

 

ある刑務所の図書室に『怪盗ルパン全集』が置いてあった

 

 

と書かれてあってちょっと笑った。

 

 

 

 

 

馬淵睦夫『「反日中韓」を操るのは、実は同盟国・アメリカだった!』

 


トンデモ本かと思ったら著者はウクライナ大使を務めた前防衛大学教授で論旨は明快。

 

近現代史について考えさせられる内容だった。

 

 

 

 

バガヴァッド・ギーターの世界―ヒンドゥー教の救済 (ちくま学芸文庫)

バガヴァッド・ギーターの世界―ヒンドゥー教の救済 (ちくま学芸文庫)

 

 

 

 

上村勝彦「バガヴァッド・ギーターの世界」

 

去年から伊東武さんの著書を読んで仏教とヨーガについて考えているが、この「バガヴァッド・ギーター」も仏教を理解するために必須といってよい示唆を与えてくれる。

 


日本で一番有名なお経は「般若心経」だが、インド世界でそれに匹敵する存在が(という言い方はかなりざっくりすぎるが)「バガヴァッド・ギーター」である。著者は大作「マハー・バーラタ」を翻訳中に夭逝されたと聞く。残念なことである。

 


月に何回か一日絶食をするが、一日食事を断つだけで体の変化を感じる。普段と心身のコンデションが違うので体が敏感になったり、いつもは考えないようなことを考える。

 

先週の絶食中にお釈迦様が断食を止めて乳粥を飲まれた話を思い出した。


その意味というのはジャイナ教との関係にあるのではないか…というアイディアが湧いた。


ジャイナ教にとって中心的な修行法である断食に対して、釈尊はNOと言われた…そういうニュアンスを感じるのである。違うかな?…