雲片汁 体の兵站
一度家内にHPを作ってもらったのだが、利用していたプロバイダーがサービスを廃止してしまったのでHPは無いままになっている。
だが時々、「立派なHPをお持ちですね」と言われることがある。
東京に同じ真言宗で金剛院という立派なお寺があり、そこのHPを見て勘違いされるらしい。
同じ真言宗でもウチは東寺派であちらは豊山派(本山は長谷寺)である。
どこかで見たレシピで「雲片汁」というのがあった。
とても美味しそうだったので見よう見まねで作ってみた。レシピを検索したら当の豊山派金剛院のHPがヒットした。
精進料理のページもあるとのことでいたれりつくせり。
今年はなんとかHPを作りたいものである。
雲片汁であるが
きのこ、じゃがいも、大根、にんじんなどを細切りにしてごま油で炒める。
すりおろした生姜を加え、岩塩、醤油少々で味付け。さいの目の絹ごし豆腐をくわえ、最後に片栗粉でとろみをつけて完成。
味噌汁というのは出汁の味、味噌の味が加わった大変に美味なものだが、雲片汁ではいろいろな野菜からでる滋味とごま油の風味を感じる。
多分、出汁や味噌というのはとても強い味なので素材の味を感じるが難しいのだろう。
素材の味と様々な食材の合わさった独特の旨味を堪能できる。
根菜や生姜など根っこ系は体を温めるとされている。
また片栗粉のとろ味も特に寒い季節には体をより温めてくれる。
この時期、焼き餅を入れても美味しいはずである。
【豊山派金剛院HP】https://www.kongohin.or.jp/recipe_izusencolumn03.html
代田文誌という昭和の名医があった。
鍼灸に秀でた技術を持っていた方で「鍼灸真髄」「鍼灸治療基礎学」などは古典の部類だろう。
他にも鍼灸関係の書籍が多く、時々読んでいるが気が付かされることも多い。
「鍼灸臨床ノート(上)」(医道の日本社)のなかに「胃腸の治療に重点をおく必要性」という一節がある。
要約すると特に慢性病の治療では先ず胃腸を良くする必要があるという。
著者によれば戦争に例えるなら胃腸は兵站であり、資源補給の要所である。ことに長期戦となれば補給が重要なことはいうまでもない。長期戦で補給が絶たれれば勝利は得られないと。
<慢性病=長期の戦争>という比喩は納得。
漢方で最も用いられる処方のひとつが「補中益気湯」だが、この処方も胃腸を補うものである。
補中の中とは内臓、特に胃腸を指すものであるらしい。
内蔵を補って気を益するとは言い得て妙なる名前である。
食べ過ぎ、油っこいもの、消化に悪いももの、冷たい食べ物や飲み物などもやはり胃腸(体の兵站)にはよろしくない。
「チコちゃんに叱られる」で「お雑煮」の「雑」は元々<内蔵>に由来するという説を紹介していた。
温かい食べ物を食べて内蔵をいたわるのが本来の目的であった由。
現代は何でも手に入るが冬でもコンビニでアイスを買うのがあたりまえである。
外食では冬でも飲み物にどっさり氷が入っている。
体が冷えることは代謝を下げる(弱める)ことと同じである。
できるだけ温かい滋養のある食べ物を摂りたいものである。