秋の風 なぜに…
昨日から蒸し暑い。
それでも秋の空気がひしひしと迫ってくる。
農家のガレージが開いてコンバインが姿を見せ始めている。
私が子供の頃にくらべて随分と稲刈りが早くなった。
朝、寝床で聴く蝉の声が心地よい。
8月のセミは「暑いぞ!暑いぞ!」と鳴いているようだが
この時期の蝉はどこか穏やかで物悲しい。
日が暮れれば秋の虫が空気一杯に満ちている。
季節の変わり目に「行く道に花の咲かない道はなく」という句集を開く。
市井の婦人の出版された句集だが自然と情感が一体になって心地よい。
山からか野からか海か 秋の風
いわし雲 果てなき空に届く丘
彼岸花 母さんと呼ぶ温かさ
花の開花も年ごとに違うらしい。
今年は随分遅くまで紫陽花が咲いている。
開花の遅いのはサルスベリ。まだ三分ほどしか咲いていない木もある。
先日、本堂で掃除をしていると二十歳前後の青年がお参りに来られた。
声をおかけしようとおもって近づくとニコニコしながら私に
「お参りの仕方は二礼二拍手一礼で良いですか?」
『二礼二拍手一礼』みたいな難しい事知ってて
なぜここがお寺だと分からないのか…
以前にもハガキを書くときに自分の名前の後に「九拝」と書いたら
以後、その方からの年賀状の宛名に
九拝 様
と書かれてあった…
それからは九拝と書かないか、書く時は改行して文字の大きさを変えて使っていたのだが、先日雑誌にお寺の写真を掲載したいというリクエストがあり何度か編集部の若い女性の担当者とメールをやり取りしたのだが、
文末にうっかり「金剛院 九拝」 と書いてしまった。
返信されたメールの宛名には…
九様
と書かれてあった…
確かに
山田太郎 拝
みたいな書き方はありますよ…ありますけど
けど…
それはないんじゃない!?